剣道昇段審査会の寸評まとめ

剣道審査会寸評の原文

(公益財団法人)全日本剣道連盟のホームページ掲載の寸評をそのまま引用させて頂いています。

過去2年間の剣道昇段審査会の審査員先生の講評(寸評)を掲載しておりますので、修練のご参考になれば幸いです。

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22.05 愛知

技と心の修業を積まれ実力を発揮し見事合格されました皆様に心よりお祝い申し上げますと共に、更なる修錬を重ねられることをお願いいたします。

今回、審査を担当して気付いた点や、残念ながら不合格となられた皆様へ参考にして頂きたいことを記述いたします。

一、事前準備として、規格に合った竹刀か。面紐・小手紐の長さは適正か。剣道着袖・袴の長さが適正で色褪せてないか。面・胴紐が縦結びになってないか。以上のことなどを十分に確認し審査に臨んで下さい。この度も、これらが不備な受審者が散見されました。

​ 高段位になられる皆様には、審査(剣道)に対する心構えを正していただきたいものです。

二、審査の主な着眼点「着装・礼法・構え・打突・風格等」が受審段位に相当するかです。このことは十分承知と思いますが、分かっている事が体現できているか自分では判断しづらいものです。いま一度、上位の先生に指導願うことが肝要です。

三、立合いでは、充実した気勢も無く打突の機会でも無いのに、開始早々に打って出る行為が多く見られます。審査という短い時間で、この限られた時間内に一本でも多く有効打突を決めたいと思う「気の焦り」から、無駄打ちが多く理合に欠けている様が見受けられました。焦りは禁物です。技は心(気)によって発動されるものです。

この限られた短時間だからこそ「覚悟」を決め先の気位で、攻めて・崩して・捨てて・打つ、機会を捉えた初太刀を大切にして欲しいものです。昔、「技は基本、心は覚悟」と教わりました。受審者の皆様は既に、自身の修正点や今後の課題に気づいた事と思います。

次は是非とも合格できることを願っております。

22.04 京都

初めに合格された皆様にお祝いを申し上げます。また図らずも不合格となられた皆様には捲土重来を期して再度の挑戦をお願いしたいのであります。

剣道六段からの審査には、①理合、②風格・品位のさらに高度な技術が求められます。これらは特別なことではなく、正しい剣道でなくてはならないと言えます。「攻めて打つ」の一言でありますが、「攻め」の工夫が大事であります。

自分の攻めによって相手がどうなったか、攻めが効いているのかいないのか。これらの判断は「溜め」の部分で調整します。そして「打ち切る」ことが最終の仕上げになります。「攻める」「溜める」「打ち切る」これを正しく行うことが出来れば良い剣道になると思います。

正しい剣道を日頃から意識して稽古することが、合格の秘訣であると思います。それが体得された時、無意識の技が冴えるのです。審査の時だけ意識しても駄目だと思います。

今回の審査でも、相手の隙も無いのに自分の調子だけで打っている人や無理な打突をしている人、さらには無駄打ち等が多く、理に敵った打突をしていない人などが散見されました。

反面コロナ禍での稽古不足ではありますが、それを感じさせない受験者も多数おられ、心強く感じた次第であります。

今回の審査では六段の合格者142人、七段の合格者175人という審査結果であり、さらには七段の合格率にあっては30・6%という好成績が注目されるところであります。

また女性剣士の合格率も向上している点が見受けられました。今後とも皆様方の益々のご精進を期待して寸評にかえさせていただきます。

 

21.11 東京 七段

東京武道館において標記審査会が実施され、昨年より1.2倍多い1018名が受審されました。担当した第一会場での所感を申し述べます。

一.身構え・気構え 何よりも肝心なのは、相対した際の充実した気勢・気魄が伝わってくる立合いが大事です。立上りはじめの漲る気が審査終了まで続かない状態では、審査員を引き付けることは出来ません。また、見た目を気にした構えは打突時に崩れます。

 

二.攻めと崩し 立ち上がるや否やすぐさま面打ちを繰り返すことが目立ちます。高段位においては、攻防で相手に攻め勝ち、崩し動かし引き出して遣うことにより打突の好機が生まれます。

 

三.打突 予想しての技や決め打ち、溜めのない早打ちが多く、機械的な打突になっています。七段位としての基礎・基本を習得し、有効打突の有無に関わらず、すべて打ち切った打突を期待します。

 

四.捨て身 打突は機に乗じて、捨て身で打ち切る覚悟が必要です。しかしながら、練度が足りず心気力一致の打突が少ないように感じます。「捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」の勇気をもつことが大切です。

 

おわりに、審査は単に勝敗を争うものではなく、平素の修錬の成果を体現する場であることを念頭においてご精進ください。

 

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21.11 東京 六段

コロナ感染者は減少傾向にあるものの今後の感染拡大警戒のため感染対策を継続しながらの審査のなか見事に合格されました皆様には心からお祝いを申し上げます。

今回も高齢者および女性の技術的力量をどう評価するか認識を共有する事項の確認がなされ、有効打突・勝負の歩合重視のみの評価ではなく「理合」、「風格・品位」について総合的に判断する。

年齢を重ねるごとに体力や筋力の衰えを補うため、様々な努力を積み重ね、それぞれ持ち前の攻め口、機会のとらえ方、また、体さばきやしなやかな身のこなし等を持ち味として評価することをもとに行われた審査結果は、高齢者・女性の合格率が上がり大変良い結果でした、更なるご精進を祈念いたします。

 

21.11 愛知 七段 六段

新型コロナウイルス感染症の急拡大により、8月中旬には緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が29都道府県に適用され、体育施設の利用が禁止されるなど稽古ができない状況が継続し、漸く10月から稽古が再開できたのではないかと思います。そんな準備期間が少ない中にもかかわらず、以前にも増して立派な態度で受審された皆様に敬意を表します。

審査会実技で感じたことを3点申し上げます。

 

1.正々堂々した剣道

「引くな、下がるな」と指導されているのか、つば競り合いから相手だけを引かせる等優位に立とうしている。現在、暫定的な試合・審判法では、つば競り合いで技が出ない場合は速やかに、双方が気を合わせて鎬を削るよう分かれるようになり、試合剣道が良くなっている。これは試合だけではなく、日頃の稽古、審査も同じであり、正々堂々した剣道を心がけていただきたい。

 

2.竹刀の持ち方

審査の着眼点は、正しい着装と礼法、適正な姿勢、基本に即した打突等であるが、立ち上がり着目するのは、姿勢、竹刀の持ち方である。左手親指が右に向いている・柄頭を余して(2~3㎝)握っている・右拳が鍔から(3~5㎝)離れて握っている人が目立った。

 

正しい持ち方は、左手の小指を柄頭いっぱいにかけて上から握り、小指、薬指を締め、中指を軽く締め、そして人差し指と親指は軽く添えるようにする。右手も左手と同様に握り、右拳は鍔からわずかにはなれるようにする。冴えのある打ちは、正しい竹刀の持ち方から生まれるものであります。

 

3.胴打ちについて

面返し胴で見事に右胴打ちをしているが、その後に相手の垂に貼り付けているシールを竹刀に巻きつけているのが数多くありました。折角の返し胴が台無しになってしまいます。腰を安定させ、背筋や首筋をまっすぐ伸ばして打つように練習されるとよいと思います。

 

おわりに、女性の着装がよく端正さを感じました。後ろ姿がいいといわれるような姿勢、着装に留意し、「事の未だ成らざるときは小心翼々」の如く、細かいことにまで気を配る稽古を継続され、更なるご精進をお祈りいたします。

 

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21.8 新潟

新潟県上越市。令和元年12月に開館。その名称からも武の薫り漂う謙信公武道館(新潟県立武道館)において先般、七段・六段審査が行われました。

新型コロナ禍で稽古の機会が極めて制約される中、稽古に工夫を重ねて見事合格された方には心からお祝い申し上げます。残念ながら今回不合格になられた方には捲土重来を期して次回に臨まれることを願っています。

 

第1会場。午前中の新進気鋭の受審者による立会いは気迫溢れる技の応酬がありました。しかしながら審査は限られた短い時間であることから、全般的に早く一本を決めようとして気力が充実しない状態、いわゆる「溜め」を作れないうちに剣先の攻防もなく打ちに出る打ち急ぎの場面も多く見られました。

一方、午後の若干年齢層の高い方では、「体力」は若干衰えつつも「心」と「技」を練り上げ、妙味のある剣風を披露された方も多く見受けられました。

 

六段・七段は各都道府県の武道館や地域における稽古の場においては青少年の育成者としても大きな期待が寄せられます。それ故に理合、品位、風格などが求められます。

一方的に打ち込むだけ、或いは応じ技に頼りすぎる剣風では、青少年をはじめとする習技者を育てるという観点からはやや不足するところがあるのではないでしょうか。

攻防のバランスを通して「だから打てた」「だから打たれた」など、稽古相手と打突の機会等を確認しながら的確な対話ができることが自分自身の稽古を高めていくことになると思われます。

今後一層のご精進を祈念申し上げます。

 

21.8 福岡

8月7日㈯・8日㈰、七・六段審査会が福岡県において徹底したコロナ感染防止対策を行い実施されました。連日、全国で一万人以上の感染者が出る厳しい状況の中、見事に合格されました皆様には心からお祝いを申し上げます。高段者として自覚を持ち更なる修錬を積まれるよう期待しております。

 

審査会(実技)で感じたことを申し上げます。

1.着装

七段・六段を受審される方々に今更着装のことでもないと思われるかもしれませんが、意外と気を使わない方がいます。受審に相応しい正しい着装で臨んでいただきたいと思います。技術以前の心構えの問題ですが、第一印象も大切なことだと思います。

 

2.技を出すまでの過程

「はじめ!」の合図で互いに立ち上がり、構えるや否や、攻め合いもなく間合を詰め、面の相打ちの繰り返しでは錬度が疑われます。蹲踞から立ち上がり、触刃の間から自分の打ち間に入るまでに相手を攻めて「崩す」「引き出す」こと・重要です。

打突の機会をつくり、そこを捉えて技を出さなければなりません。審査員はその点を高く評価します。

 

3.高段者の打突

高段者には「強さ」と「冴え」を兼ね備えた気剣体一致の打突が求められます。また打突後の姿勢の整えができていなければその打突を生かすことができません。

高段者に相応しい打突は一朝一夕に身につくものではありません。普段の稽古時から技の一つ一つを「打ち切る」ことを心掛けましょう。そして「打ち切った技」がたとえ打突部位を外したとしても「姿勢は崩さないぞ!」という気構えで打ち込んでいくことが大切だと思います。

また、「打突の冴え」を生み出す「手の内」の鍛錬には「素振り」「切り返し」「打ち込み」といったメニューは欠かせません。日々の稽古に必ず入れて基礎練習を繰り返し行うことをお勧めします。

 

皆様の更なるご精進をお祈りいたします。

 

21.5 愛知

5月15日(土)・16日(日)七・六段審査会が名古屋市で実施されたが、折しもコロナ感染拡大による緊急事態宣言が愛知県に発出(12日)された直後の開催となった。

その影響もあってか七段では160名、六段では116名の欠席者があったが、全剣連では徹底した感染予防対策を行いながら2日間の審査会を無事に実施した。以下、実技審査の感想を述べてみたい。

先ず当日の審査員研修会において、真砂 威副会長より審査における「審査の着眼点について」の告知文(『剣窓』6月号に掲載)の説明があり、特に高齢者および女性の技術的力量をどう評価するか、審査員相互間と全剣連の運営側とが認識を共有する事項についての説明がなされた。

 

今回私の担当した審査会場では、七段が51歳から88歳、六段が46歳から84歳という高齢者であり、特に女性については年々受審者が増加していると感じた。

この度六段以上の審査においては「有効打突」「理合」「風格・品位」などを総合的に判断すること、また『しなやかな身のこなし』というものを品位として、更に体さばきや攻防の理なども「持ち味」として評価することを掲げており、特に体力や俊敏性が低下した高齢者や女性への適正な審査を行う上で大変重要な事項である。

 

さて実技審査で感じたことは、コロナ禍でのマスク着用によって掛け声が小さく、気迫が弱々しく感じたことである。剣道をする上において掛け声を大きく出すことは、気力を充実させ、気迫あふれる攻めから有効打突へ、そして残心へと繋がっていくものであり、マスクの着用が技術の向上を妨げているのではと案じている。

ともあれ今回は七段合格者127名(合格率21.6%)六段合格者177名(合格率30.8%)という審査結果であった。

 

 

21.4 京都

恒例の京都審査会が、新型コロナウイルスの感染防止対策に万全を期して実施されました。合格されました皆様に心よりお祝い申し上げます。高段者として更なる修錬を積まれるよう期待しております。

 

さて、審査(実技)について所感を申し上げます。今回残念ながら思いが叶わず、次回に捲土重来を期される皆様の参考となれば幸いです。

 

打とうとする意識が強過ぎて、攻め合いもなく、直ぐに無理な打ちを出し、打突後の体勢が崩れる等、まとまりのないまま終了する受審者が見受けられました。

 

審査では有効打突もさることながら、技を出す過程が理に適っているか、否かが問われます。「攻めて理で打つ」という教えがあります。蹲踞から立ち上がり、「触刃の間」で充実した気勢で先を取り、「交刃の間」(自分の打ち間)に攻め入り、打突の機会をつくることが重要です。攻め勝って、乗って、崩して、迷いのない思い切った技(捨て身の技)を出すことです。

 

加えて、六・七段の打突は、気剣体の一致した「強度」と「冴え」・のある打ちが求められます。左足、・左腰、左拳の定まっている構えをつくり、「一拍子」の鋭い打突を心がけてください。構えができると、激しい動きの中でも体幹が安定し、相手の攻めや打突に対しても崩れないし、「風格・品位」が具わってきます。今一度、自分の構えを確認してください。

 

今回も多くの女性が受審されました。合格されました女性は、「仕かけ技」ばかりではなく、理に適った「冴え」のある「応じ技」が決まっていました。「しなやかな身のこなし」による見事な立合いが随所に見られ、女性剣道のレベルの高さを感じました。

 

審査は自分の剣道を見直す絶好の機会です。高い水準の剣道を目指し、皆様の更なるご精武を祈念致します。

 

21.2 長野

2月20日(土)・21日(日)七段・六段審査会が長野県で実施されました。コロナ禍での厳しい状況のなか、見事に合格されました皆様には心からお祝い申し上げます。

審査会で感じたことを述べさせて頂きます。

今回は、両日とも4会場で実施されました。審査は今まで積み重ねて修錬された成果を僅かな時間の中で出し切らなくてはなりません。

 

審査に大事な事は、当然ですが相手よりも優れていることです。

 

彼我攻防の中で剣先の攻めがきいて、攻め勝って理に適った打ちを出し切ることが出来たのかどうかであり、不用意な打ちは評価されません。

攻めがなく打つべき機会でないのに打ちを出している方が見受けられました。それこそ無駄打ちになってしまいます。打ち出した技が審査員の目に留まり審査員の心に響かなければなりません。(主導権を握る)

 

審査における留意点

攻め→崩し→打ち(技の冴え)→捨て切る

打つべき機会を逃さずに身を捨てて打ちを出し切っているのだろうか。

隙も無いのに、自分の調子だけで打ちを出していないだろうか。

無駄打ち、無理な打ちのない真に理に適った打ちであるだろうか。

着装について

着装に関しては全体的に概ね良好でしたが、各会場においても剣道着の袖がかなり短いものを着用している方が多く散見されました。着装は剣道に臨む心構えを映し出しています。

竹刀について

受審者の中には、竹刀の手入れが余り行き届いていなかったり、明らかに先細りの竹刀を使っている方がかなり散見されました。その人の剣道観が審査員には一見して分かります。特に細身の竹刀は、安全性や強度の面からして非常に危険です。

竹刀は『刀の観念』と言われています。竹刀に気を配って細心の注意を払うべきと思います。我が身を守り、我が身を助け戦ってくれるものです。入念に手入れをし、審査に臨む姿勢が大事な事ではないかと思います。

六段、七段は指導的高段位です。剣道を志す者として日頃から竹刀を大切にし、手入れを怠りなく心掛けていれば、竹刀に魂が宿って『竹刀という剣』に託す気持ちが内心的にも自ずと違ってくるのではないかと思います。

 

皆様の益々の御精進をお願いして寸評に代えさせていただきます。

 

20.11 東京②

コロナ禍で稽古もままならぬ状況下、昇段を目指し挑戦をして頂きました。見事合格された方は一つの段階をクリアした訳ですが「修業の道にゴールなし」と言われます。

これからも精進を重ね更なる高みを目指して頂きたい。残念乍ら不合格だった方は、素直に今回の立ち合いを振り返り、課題を掘り起こして、必ずや次回はリベンジして頂きたいと思います。

 

審査で感じたことを申し述べます。

一、攻め 剣道は相手を攻め上げ攻め崩して有効打突に繋げるもの、ただ勢いに任せて打突するだけではどうなのか。

一、間合 自分の打ち間をつかんでいない。攻めとも関連しますが無駄打ちを繰り返す姿が見受けられました。

一、気迫・勢い 姿や形を意識するあまり、相手を打ち破らんとする気迫、勢いが不足気味。

一、体勢 今の状況下で稽古不足が遠因か、打突する際に体勢が崩れる方が多かった。体軸を崩さず打ち切ることが有効打突の条件でもあります。

一、捌き 仕掛ける時も応じる時も何処へ身を置くのが効果的なのか、身の寄せ方、相手との距離。

一、時間の配分 短い制限時間内に自分の剣道を披露する。気負わず 力まず 空回りせず

 

これらが全てではありませんが常に緊張感を持ち集中して修業することが合格への近道と考えます。

 

コロナが終息し、一日も早く平常へ戻ることを切に願い寸評と致します。

 

20.11 東京①

コロナ禍で稽古もままならぬ状況下、昇段を目指し挑戦をして頂きました。見事合格された方は一つの段階をクリアした訳ですが「修業の道にゴールなし」と言われます。

これからも精進を重ね更なる高みを目指して頂きたい。残念乍ら不合格だった方は、素直に今回の立ち合いを振り返り、課題を掘り起こして、必ずや次回はリベンジして頂きたいと思います。

 

審査で感じたことを申し述べます。

一、攻め 剣道は相手を攻め上げ攻め崩して有効打突に繋げるもの、ただ勢いに任せて打突するだけではどうなのか。

一、間合 自分の打ち間をつかんでいない。攻めとも関連しますが無駄打ちを繰り返す姿が見受けられました。

一、気迫・勢い 姿や形を意識するあまり、相手を打ち破らんとする気迫、勢いが不足気味。

一、体勢 今の状況下で稽古不足が遠因か、打突する際に体勢が崩れる方が多かった。体軸を崩さず打ち切ることが有効打突の条件でもあります。

一、捌き 仕掛ける時も応じる時も何処へ身を置くのが効果的なのか、身の寄せ方、相手との距離。

一、時間の配分 短い制限時間内に自分の剣道を披露する。気負わず 力まず 空回りせず

 

これらが全てではありませんが常に緊張感を持ち集中して修業することが合格への近道と考えます。

 

コロナが終息し、一日も早く平常へ戻ることを切に願い寸評と致します。

 

 

2011 愛知

秋晴の好天の下、愛知(名古屋)審査がコロナ禍の中、感染防止策を確り取って粛々と実施された。

 

さて、此の度、めでたく合格された方、残念ながら不合格となられた方、悲喜こもごもな結果となった訳ですが終始一貫して整然とした受審態度で臨んで頂き敬意を表する次第です。審査を担当し、以下所感を述べます。

◎合格基準の判断は有効打突の表現方法と内容の良否による

(一)、表現方法

○構え→攻め崩し(攻防)→隙を捉える→打突→残心

この一連の技術構造において①理合、②風格の表現は十分だったかどうか。

(二)、表現内容

○気剣体一致の打突

○技の錬度と質

七・六段の高段者は特に「手の内の作用、強さと冴え」が求められる。技の切れ味・玄妙な味等の錬度と質が力量を表す。

○有効打突の要件、要素は適確に表現されたか

(例)・構え―左手の納まり、左足踵は適度に上げているか

 

間合―打ち間を捉えているか

機械―打つべき機会を捉えているか

残心―身構え、気構えは十分か

以上、審査員の目(判断)の観点から所感を述べました。皆様には今一度、審査内容を検討されて今後は高段者の登竜門を潜り抜けた自覚をもって、より一層のご精進、ご活躍を祈念申し上げて結びとします。

 

 

20.10 兵庫

去る10月14日(六段)・15日(七段)にウインク武道館(兵庫県立武道館)において、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期して審査会が実施されました。

 

さて、審査(実技)について簡単に所感を述べます。

まずは、合格された皆様にお祝いを申し上げます。次に、残念ながら不合格となられた皆様には、次の事項に不十分な点が散見されましたので今後の修錬の参考にしていただければ幸いです。

 

無理のない自然体の構え、

気魄の充実、

剣尖の活きた攻めと崩し、

打突の好機、

技の冴え、

体捌き、

残心等です。

六段からは、理合と風格・品位が求められます。したがって、身法・刀法・心法が理にかなっていなければなりません。

簡単にいうと総てのことが基本(正しさ)に則したものでなければなりません。それが身につけば、自ずと風格・品位が備わってきます。

 

昭和の劍聖と称された持田盛二先生は、遺訓で「私は剣道の基礎を体で覚えるのに五十年かかった」と述べておられます。また、先達が「百錬自得」という教えも残されています。さらに道元禅師は「正師を得ざれば学ばざるに如かず」と仰っています。

 

つまり、本物の師に指導を仰いで基礎・基本を身につけるように不断の努力(稽古)をすることが肝要だということです。

 

武道館のロビーに持田盛二先生の揮毫による「絶妙霊剣存一心」の墨書が展示してありました。私どものような凡人には、「絶妙の霊剣」という域には到底達し得ませんが、目標に向かって「一心」に努力することは可能かと思います。皆様の一層のご精進を期待致します。

 

20.8 福岡

新型コロナ禍の下、各種行事が中止、もしくは延期となる中、全剣連が今年度はじめて実施する剣道七段、六段審査でありました。

 

受審者全員がマスク等を着用するほか、審査員、役員、係員はすべてシールドとマスクを併用して、物々しくも、粛々と実技審査が執り行われました。

この度は、私が担当しました第3審査会場について、その感想を申し上げます。

合格された方は、風格、構え、攻め、打ち出される打突が、受審段位に相応しい内容であったと思われます。

 

一方、この度不合格になられた方々は、それぞれ何らかの難点が見受けられました。

 

主な点を挙げますと、

第一に、足さばきが不十分なことです。攻め合い、攻防の段階ですでに運足が乱れ、構え、体制が崩れる方がいます。そしてその体勢のまま技を出すので、十分な打ちができません。

 

第二は、打突の強さが不十分な点です。せっかく良い機会に技を出されても、特に小技、すり上げ、返し技が一本になり切れていません。打ちの強さと冴え、手の内の作用について、更なる修錬が必要と感じました。

 

第三は、受審段位に相応しい風格、構え、打突後の残心が不十分な方が見受けられました。高段者としての風格、立ち居振る舞いを身につけるには、剣道形の稽古を今一度見直して下さい。

踏み込み足での技を除き、剣道形の所作、足さばき、腰の備え、打ち切り、残心の身構えなどはそのまま竹刀剣道においても必要とされます。風格の醸成には形稽古に励まれることをお勧めいたします。

 

以上ですが、なかなか自分で自分の短所に気が付くことは難しいものです。自分の短所を知るには、今一度上位の先生方に指導を仰ぐ、又は稽古仲間からのアドバイスをもらう事が、最も早い解決策かと思います。受け入れた助言等により、何か気付いたときは、一意専心、反復練習に心がけて下さい。

 

自分の体が自然に対応できるまで精進され、次回の審査では万全の立合いで合格をされます事を祈念申し上げます。

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